好きな季節の話

 季節の話を見るといつも思う。
 私は誕生月が晩秋なのだが、その月が一年で最も体調メンタルともに悪化する。風邪すら滅多にひかない人間だが、風邪をひく(ここ二年くらいはひいていない)。一年でもっとも死にたくなる(ここ二年くらいはこちらが重い)。より悪いことに誕生日付近になるとさらに増す。なので誕生日付近が憂鬱すぎて誕生日を人に言いたくない。

 ここで悪いことに、晩秋は季節として外から眺める分にはかなり好きなのだ。紅葉がかげり始め、時雨に散り、冬へと様変わりしてゆく様子はとてもとても好きだ。指先が冷たくなり、コートが厚くなり始め、見るべきもののなくなってゆく景色。非常に好ましいと思う。本当に。
 よって、見ている分にはいいが、体感したくはない、それが晩秋であるので、晩秋に対する感想がどんどんこじれていく。晩秋は好きだが、体調は崩したくない。明るく楽しい人格でいたい。よってそれを妨げるものはあまり好ましくない。しかし晩秋の風情は捨てがたい。難しい。

 ここまで書いてなんとなく悟ってしまったがこれはあれだ、推しに会うと感動のあまり気持ち悪いみたいなあれなのではないか? 体内のキャパを晩秋が超えていくことによる体調不良。なるほど。私は推しに会うと足が震え吐きそうになる種類の人類なので、この可能性はなかなか高い。そうか、そうだったのか。推しだったのか、お前……